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小雨の降りつける早朝の名古屋空港に、男は一人佇んでいた。

生まれて2回目の海外に、ただの一人で旅立とうとしていた。

男は広東語なんてサッパリわからず、英語でさえも全く話せない。

もういい大人であるというのに、中学生レベルの英単語しか知らない。

それでも男は海外の魅力に取りつかれ、見知らぬ地への一歩を踏み出したのだ。



そんなわけでとうとう出発ですよ、香港へ。

一応安いツアーで申し込んでいるので、香港国際空港には現地ガイドの人が待っていてくれるらしく、そこからホテルまで連れて行ってくれるそうですが、なにせ完全フリーのプランなので、そこから先は何の助けも案内もありません。全ての行動を自分で決められるのはいいのですが、頼れるものは自分とガイドブック一冊のみ。前回の台湾旅行は先輩に全てまかせきりで、後からついていけば良かったのですけど、さすがに今回はそういうわけにはいきません。
といったことで、海外旅行初心者の、香港一人旅の様子を楽しんで頂ければ幸いです。



さて、キャセイパシフィックの直行便で3時間あまりの飛行時間。フライトアテンダントのお姉さんは日本人も一人いたのだが、向こうの席の担当らしく、フライト中の会話相手は「ニホンゴ、ワカリマセーン。」と仰るパツキンアテンダントのみ。となりの老夫婦とはとてもじゃないが話しが合いそうにない。

機内食が出されるときに「ポークorチキン?」と聞かれて「ポーク」と答えたのにおもいっきりチキンが出てきた時には、心の片隅に持っていた豆粒ほどの自信がプチッと潰れてしまうのを感じましたが、
「ビール」「ワイン」「レッド」「ジャパニーズティー」「オレンジジュース」などと、
ここで持ってるボキャブラリーの30%ほどを早くも消費してしまう。全く先が思いやられる。



到着時間も迫ってきたので入国カードをもらって記入。そしたら一緒に知らないアンケート用紙みたいなのを渡されました。全て英語で書いてあるので何がなんだかわかりません。少し前までSARSが流行していたので、おそらく健康状態のアンケート用紙であろうと思われます。自らの英語知識を総動員させて英語で記入していきます。住所、氏名、年齢、宿泊先など。あとは雰囲気で「fine」とか「none」とか書いておいた。



そんなこんなで香港國際機場に到着。とりあえず日本人のおばさん連中の後ろについていったのですが、全然違う方向に行ってしまう。今度は案内版の「抵港」という文字に頼り歩いていくが、途中でトイレによったためにいきなり日本人ただの一人状態になってしまう。この空港がまたとんでもなく広い空港で、行けども行けども入国審査場にたどり着かない。途中列車にまで乗って「本当にこっちでいいのか?」と思いながらも見栄っ張りな僕は涼しい顔を作り進む。

無事空港ロビーに出たら現地ガイドらしき人が看板を持って立っていたので、挨拶をして日本人ツアー客の集団でバスに乗り込む。

 ←香港國際機場

バスの中で説明の後、恒例の両替タイム。ところが同乗しているおばちゃん連中はだれも両替なんかしません。どうやら日本ですでに両替してきているようです。両替のレートなんて気にしないマダムたち。入国カードも旅行会社に手数料を払って用意してもらっている。その手数料さえもケチった貧乏人の僕は、ホテルのチップも用意しておかなければいけないと思い、両替をしてもらいました。そしたら横にいた若い女の子二人組は8万円も両替してもらってます。ブランド品でも買い漁りにきたのでしょうか?



 尖沙咀のカオルーンホテルにチェクイン

早速外に繰り出す。そしたらいきなり東南アジア系の男が「トケイ、トケイミル?」と声をかけてきた。
時間でも知りたいのかと思ったら、どうやら香港名物ニセモノ時計売りのようです。
「いや、いらんわ。いらんいらん。」と相手にはしませんでしたが、その後もホテルの行き帰りやDFSギャラリア(免税ショップ)などでもさんざん声をかけられました。彼らは風俗街のポン引きのように日本人だけでなく白人さんにも「ヘイ、ミスター!」って声をかけてました。まったくたくましい連中だ。



すぐ近くの地下鉄尖沙咀駅でオクトパスカード(八達通)を購入。

駅の窓口で「オクトパスカード、プリーズ」とでも言えばいいです。これはプリペイドカードで、ありとあらゆる乗り物に使え、自販機やスーパー、コンビニなどでも使えます。使うときも読み取り機にカードをかざすだけという超便利なシロモノ。一度使ってみたかったんだ。(150HK$:デポジット50HK$含む)


そのまま地下鉄に乗ってもよかったが、せっかくなのでスターフェリーに乗りに行くことに。

 

アッパーデッキで2.2HK$です。当時1HK$はおよそ14.5円でしたので、約32円!なんという価格破壊なのでしょうか。横浜のシーバスはその10倍以上するっていうのに。香港島に見える高層ビル群を眺めながら香港に来た感慨にふけっていると約10分ほどで中環に着きました。

中環の近代的な街並を歩いていると、驚いたことにそこらじゅうに灰皿とゴミ箱がある。ショップの自動ドアが開くたびに中から物凄い冷気が吹き出てくる。9月の下旬とはいえ、香港は真夏のように蒸し暑いのですが、建物の中の冷房の効き具合は凄まじいもので、絶えずフルパワーフル稼働。外を歩いていると頭に水滴が落ちてきて何度も「ん?雨か?」と思ったのですが、どうやらエアコンの室外機から水が落ちてきている模様。よく見れば地面もところどころが湿っています。

それと街中には親切にも案内版が多くあり、目当てのヒルサイドエスカレーターにもすんなりと到着することができました。

hk04.jpg hk05.jpg

たかがエスカレーターと侮るなかれ。全長800mを誇るヒルサイドエスカレーターは香港名物としても有名。
観光客も多いが、現地の人たちの貴重な足としても利用されています。朝の通勤時は下りに動き、あとは上りで動いているそうです。

エスカレーターを上るにつれ、だんだんと辺りの民家がキレイな高層マンションになっていくのが面白いです。金持ちとナントカは高いところが好き。エスカレーターを上りきったら、上の右写真にあるような超高級マンションが乱立しています。もう観光客なんて誰もいない。ベンツが走り回り、高級そうなお犬様を散歩するセレブな奥様。外国人学校の校庭でバスケをしている白人の子供たち。完全に雰囲気に呑まれてしまいました。それでも頂上まで歩いてやろうかと頑張りましたが、はるか遠くにピークタワーが見えたとき、そこで完全に心が折れてしまい、気付いたら来た道を戻ってました。

長い長い階段を歩いて下りるのですが、あまりの暑さに脱水症状を起こしかけてました。
まわりを歩いてる外国人観光客が、皆一様にミネラルウォーターを持っている理由に気付き、やっとの思いでコンビニに駆け込んでお茶を買い一気に飲む。

ゴク・・・ゴクゴクゴクーーーぐはっ!甘い!

あまりにも慌てていたので、台湾で学んだ
「ペットボトルのお茶は甘いから『無糖』って書いてるのを選べ」という教訓を忘れていた。
しかしもはや水分だったら何でもいいくらい喉が乾いていたので一気に残りを飲み干す。



一息つくことができたので、いよいよ頂上を目指そうと、ピークトラム駅を探して歩き出す。
途中食べたかったエッグタルトを発見したので、中に入り店員と目が合ったところで「ニコ(これ)」と言ってタルトを指差し買って食べる。たった二文字の広東語を初実践する。通じているのかどうかわからないが、エッグタルトは温かくて美味しかった。


さて、もう夕刻くらいの時間帯なのですが、ピークトラム駅がどうしても見つけられない。
香港100万ドルの夜景を観るためには、ピークトラムで山を登らなくてはいけないのですが、駅がどこにあるのかがさっぱりわからない。『地図を見ながら歩かない』『街中で地図を広げない』というわけのわからんポリシーを持っているため、いつも行き当たりばったりで行動する僕。ドイツ人観光客らしき人たちの後についていったりしましたが、全然違うところに連れて行かれたりして予想外に時間が過ぎてしまう。


それでもなんとか『Peek Train』と書かれた案内板を発見し、なんとか駅を発見することができた。

 ものすごい角度で下りてきたピークトラム

ジェットコースターの上りが延々と続いているような感じで上るトラム。マジで首が据わらない。


さあ、ヴィクトリアピークで夜景を楽しもう。
空に雲が多く、真っ暗というわけではなかったがなかなかの景色。日本人ツアー客もたくさんいた。

  

日本人団体ツアー客のみんなは一ヶ所に固まって写真を撮っています。家族連れで楽しそうです。
「僕は・・・あの中には入っていけない孤独な旅人なんだ・・・・」
と、あえて日本人以外が集まってる展望台で夜景を眺める。そこも結構人が多く、人の足を踏んでしまった。

「す、すいません!」

思わず日本語で謝ってしまう。もう、オレ、ホンマ「sorry」くらい言えよ。さっき白人さんとぶつかった時に
「sorry」って言われたばかりやんけ。おいら、典型的ダメダメ日本人なんです。

上の写真右の『ピーク・ルックアウト』で食事をするつもりだったんですけど、実は尖沙咀でこれから待ち合わせをする日本人女性Kさんとの約束の時間に間に合わなくなってしまうため、マダム・タッソー蝋人形館に行くのもすっかり忘れて急いでバスで戻ります。

バスで天星碼頭(スターフェリー乗り場)に行き、夜の尖沙咀プロムナードをパシャリ。

変に余裕をぶっこきながらも、ホテルでソッコーでシャワーを浴び、待ち合わせ場所に急ぎます。
昼間暑さで汗だくになってたので、最低限シャワーくらいは浴びていかないとね。

事前の約束通りデジカメを首からぶらさげてゆっくりと待つことにします。
しかしすでにKさんは待ってたらしく、すぐに見つけてもらえました。
そしてKさんと2人で遅い夕食をとることに、香港に何度も来ているKさんに完全におまかせで、「糖朝」へ行きます。

香港に来た日本人の誰もが行くと言っても過言ではない有名店「糖朝」
最初にお茶が出されるのですが、問答無用でジャスミン茶でした。
香港っていったら一番ポピュラーなのはポーレイ茶ですよ。最初に「お茶は何にしますか?」って聞かれると思って「チャー」という言葉だけは聞き漏らすまいと思っていたのに。
そんでもって「ポゥレイ」と中国チックな発音で答える練習をしていたというのに。
あれですか?外国人が来たらとりあえずジャスミン出しとけっていう例の格言ですか?
でもジャスミンも美味しかった。めっさガブガブ飲んだもの。飲みやすい温度でつい次から次へと飲んじゃうね。日本茶ならフーフーしないと飲めないくらい熱くなくては「こんなぬるい茶を出しおって!」と怒りかねない場面ですが、中国茶なら許されますね。お茶の種類が違いますから最適な温度も違うんでしょう。よくわかりませんが。

食事の方は、ツバメの巣とフカヒレの細切りが入ったお粥とエビ入り水餃子の麺を食べるが、Kさんとの会話に夢中で写真を撮り損ねる。最後にかろうじてマンゴーとタピオカのデザートをカメラに収める。

Kさんといろいろ話をしました。Kさんはアジア各国を毎年のように旅行しているということ。
メールでは東京在住と言っていたのに、実は神奈川県某市在住だったこと。
いやいやわかりますよ。僕も小学生までは名古屋に住んでいたのですが、今は名古屋から少しはなれた片田舎です。今回僕は愛知県在住で通していましたが、遠くに旅行などに行ったとき「名古屋からきました」と言ったりもします。県よりもそこの都市が有名ならそこに住んでなくてもそこから来たと言った方がわかりやすいですからね。神奈川県の人は横浜、宮城県の人は仙台、兵庫県の人は神戸に住んでますって自己紹介するでしょう。

それが多少都道府県をまたいでもいいじゃないですか。千葉も埼玉も東京でいいじゃないですか。



そんなこんなで明日の夕食の待ち合わせ時間を決めて、コンビニによって無糖のお茶をしっかりと選び、青島(チンタオ)ビールとつまみを買ってホテルに戻ります。



ここで初日の感想を言わせてもらうと、言葉は会話も特にしていないためか、特に問題なし。向こうの人も日本人ってすぐにわかるためか、僕でもわかるごく簡単な英語を使います。僕のほうも簡単な英単語とジェスチャーで意思表示をしてます。言葉が何も出てこない時は日本語で。何もしゃべらないよりはずっといい。
しかし国際都市香港の人たちはずいぶんと外国人なれしてますね。



さて、部屋に備え付けのPCの電源を入れます。

TVも兼ねている端末です。SONYのブラウン管です。TVはとりあえずおいといてインターネットをしよう。実は事前情報で日本語入力はできないと知っていたので、globalIMEを持って行きました。
インストールすればIEで日本語表示や入力ができます。しかしブラウザはネットスケープだった。
OSはWindowsNTだったんですけど、ホテルオリジナルのメニューが起動してWindowsを直接操作することができなかった。日本語表示はできるがアナログモデムらしくえらく遅い!しかも文字表示がデカすぎて小さくできないってかやり方がわからない。ネットはちょっと使えないなと思い断念。
このホテルはチェックインの時に宿泊者専用のメールアドレスが与えられるのですが、それは使わずに自分のフリーメールでローマ字メールしてました。地元の女友達にローマ字でメールをしたのですけど、そしたらご丁寧にもローマ字で返信をしてくれまして、

件名:from JAPAN

iina- GIRL ha dou datta? ROMANCE ha? soreto omiyage yorosikune-☆

Kさんの印象を問われ、ロマンスは?とかわけのわからんことを聞かれ、しっかりとお土産まで要求されてます。

ええっと・・・・テレビでも・・・・観ようか・・・・・な



日本のTV番組はNHKだけやってます。
NHK見てもつまらないので現地のMTVにあたる音楽番組を見てました。
あっ浜崎あゆみが流れてる。でも古い曲のPVだった。
あと他のチャンネルのドラマで、キムタクと松嶋采々子が出てましたが何のドラマかわからず。 

もう歩きつかれて疲れたので、枕銭10HK$をあらかじめ置いておいて、その日は寝ました。






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