ドキドキ!伝説の臨海学校


前編


臨海学校、それは海での集団生活で何かを学びとる学校行事の一種。

現在とある週刊少年誌に連載中の、ちょっとエッチなマンガでも描かれているウキワクな展開が期待される素敵イベント。これが僕が高校一年生の頃にも行われました。

海辺に水着でキャー!夜は肝試しでキャー!
いつのまにかカップルなんか成立しちゃったりしててキャー!
・・・・・なんて展開はマンガだよマンガ!現実は違う。
僕の時の臨海学校なんて、朝早くから何時間も延々と泳がされていたからな。

知力よりも体力をつけることに重点を置いていた僕の学校では、男女は完全に隔離。
およそ海水浴客なんて寄りつきそうもない岩場に囲まれた海で、
朝から暗くなるまで延々と泳いでいるだけ。
センセー!ビーチでエンジョイなんてのは夢物語なんですか?
臨海学校ってのは・・・もっとなんか、こう・・・
肉欲的な何かを感じさせるものじゃないんですか?
僕ってばテレビやマンガの見すぎなんですか?


それでまあ、僕らの夏のドラマの舞台になったその海も、
生徒の身の安全を考えてるのか考えていないのか、
一番水深の浅いところでも背の高いヤツならかろうじて足がつくかつかないか程度の深さ。
背が低くて泳げない生徒はLet’sドザえもん!生命の危機を感じてるヤツもいたよ。
しかもそこが普通の海水浴場じゃないもんだから、
かろうじて足がつく長身のやつでもただでは済まされない。
なにせ海の底はゴツゴツした岩だらけで、
さらに先の尖った危険な何かがゴロゴロしているものだから、
足をケガするヤツが続出。結局足をついて休むこともできないというスパルタぶり、
ここは戸塚ヨットスクールかと思うほど異常な臨海学校だった。
しかも本当に戸塚ヨットスクールが近くにあったりするものだから逆に笑えてしまう。

そんな地獄が三日も続くものだから疲労も困憊、全員が股ズレしてた。
「やっぱり女子のオマタも股ズレしてるのかな?フフフ・・・」
と変な妄想をせずにはいられないほど追い込まれてた。

それでもまあ、楽しみといえば旅館に戻って地獄から開放された時しかなく、
風呂、メシ、同じ旅館に泊まってる女子との交流。そこに活路を見出すしかない。

さて、こういった場ではお約束事ってのがあるもので、
そう、健全な男子諸君なら必ず持ってる『女湯を覗きたい』って願望。
しかし人間には理性ってものがあるもので、それを実行に移す者は少ない。
だからこそ実際に覗いてしまう者たちは、ある意味勇者と呼ばれるのかもしれない。

僕らの学校が泊まってた旅館は6階に大きな展望浴場があり、
外に大きくせりだした浴場は上から横まで全面ガラス張りだった。
高い位置にあるから良いものの、外から見れば完全に中まで丸見え。
海に面していなければできない造りの浴場だった。

さあ、これを見れば必然のごとく勇者パーティーが現れる。
外に出れば壁をよじ登って隣の女風呂を覗けるかもしれない!
いつの間にか結成された勇者立花くんら4人のパーティーは、
風呂場の非常口から外に出て、あろうことか壁を登り始めた。
タオルを腰に巻いたまま、下から見てるとナニも丸出しで、
浴場の上から女湯まで渡っていって上から覗こうとしていた。
下手して滑り落ちたら確実に死んでしまうことも恐れずに、
彼らは未知なる秘境に突き進んでいく。
僕は勇者というよりは『ムーンペタの街へようこそ。』って言ってる人に属性が近いので、
脇で傍観してるだけだったんだけど。


まあ、これを読んでる女性には分かって欲しいと思うのですが、
男の子が女湯を覗くという行為は、女子の裸を見たいという部分ももちろんあるんだけど、
それよりも覗こうとする行動自体が男の浪漫であり、男の子なら誰もが持ってる冒険心というものをくすぐられるっていう部分が大いにあるんですよ。
覗きという反社会的行為はもちろん許されるべきことではないのですけど、
そういった男の子の冒険心が、これまで人類が未開の地を開拓して進化してきた要因の一つであるということを分かって欲しい。そう、覗きはアドベンチャー。



でまあその覗き行為の結末は「コラー!お前ら何やってんだー!!」と、入ってきた先生に捕まりゲームオーバー。浴場の入り口の廊下に並んで正座させられてました。

「何?あれどうしたの?」

「なんか覗こうとしてたらしいよ。」

「やだー。許せない!」

「ま、いい気味だよね。」

風呂に入りに来る女子生徒全員の晒し者になってた。

勇者になり損ねた4人パーティー。リーダー立花くんもちょっと涙目になってた。



なにせ昼間は先生の監視つきで徹底的にシゴかれているのだから、夜にしか楽しみを見いだせない。こうして臨海学校の一日目は更けていったのでした。






−後編予告−

↑これは本当にそう。消灯時間後、先生の巡視をかいくぐり女子の部屋に侵入する男子4人。立花くんは女子に嫌われフテ寝。新たに結成された勇者パーティーには僕もいた!
果たして僕らは本当の勇者になれるのか?


後編


前編のあらすじ
夏だ!海だ!臨海学校だ!
高校生活初めてのお泊りで海へ。なにやらキケンな予感。男女共学で良かった。
だけど始まってみれば戸塚レベルのスパルタ教育。延々と遠泳。
イルカが女子の水着を剥ぎ取ることもなければ肝試しさえも無い。
立花くんは女風呂を覗こうとして撃沈。ポロリも無くてどーすんだ。
そして二日目の夜。僕らは女子の部屋に侵入することを決意する!



まあ、侵入するとか書いてると夜這いに行くのかと思われるしれないけど、
実際はちゃんと予告はしておいた。
じゃないと昨日女風呂を覗こうとして女子から総スカンを喰らった立花くんたちと同類項になってしまうからね。

「夜部屋に遊びに行っていい?」

「いいよー。おいでー。」

普段なら「来んな!キモイ!」と罵声を浴びせられるほどブサイクな僕らでもあっさりOK。やはり旅先では心もオープンになるものだ。高校に入学してまだ数ヶ月、ここで女子たちとグっとお近づきになっておかなくてはならない。

消灯時間が過ぎ、無作為に選抜された僕をはじめ4人の勇者たちは、
ベランダにある非常用はしごから上にある女子の部屋に上っていった。

コンコン(窓をノックする音)

「あ、入っていいよー。」

部屋に入って最初に思った。なんで男女でこんなに待遇が違うんだよ!
6人で一部屋かよ!男子は旅館の3階に2クラスごとに大部屋に押し込まれて、
一人一畳のスペースも無いほど劣悪な環境で就寝しているっていうのに、
4階の女子は広すぎるスペースで優雅にご就寝あそばされてるっていうのかよ!

しかし、畳に敷かれた6枚の布団と浴衣姿の女子。そしてお風呂上がりのいい香りにそんなことはどうでもよくなってしまった。

「あれ?一人居ないね。」

「あ、朋子は隣の部屋に遊びに行ってるよ。」

「あ、あとアレ・・・・・」

すぴー・・・・しゅるるる・・・・すぴー・・・・

寝てたーーーーー!空気読んでない女いたーーーー!

「まあまあ、疲れてるんだから寝かせてあげて。」

おいおい、フツウ男が来るってのに寝てるか?
俺だったらどんなに疲れてても絶対起きてるぜ。
むしろ要らん妄想しちゃってさ、ナニがビンビン物語で寝られないぜ。


しかしこれで男女4対4になったのでバランスがとれていいのかもしれない。
でも・・・これからどうする?これから先を全く考えていなかった勇者パーティー。
どうやって場をつなぐ・・・どうやって盛り上げる・・・どうやってアッチの方向にもっていく?

なあ同志よ、作戦はどうすんだ?




ピッ

  ガンガンやろうぜ
  バッチリせまれ
⇒ たちばをだいじに
  シモネタつかうな
  めいれい♂させろ

このヘタレめーーーー!

王様ゲームも男女で盛り上がれるゲームもさほど無かった時代。
スライムも倒せない恋愛レベルだったモテない僕らにはどうすることもできなかった。


「じゃあトランプしよっか。」

といったわけでババぬきなんかしてたんだけど、
その間さ、僕なんてトランプどころじゃなかったわけですよ。
ほら、寝てた女子が一人いたじゃない。
その子がまた寝相が悪くてさ、気付いたら布団なんか放り出しててさ、
寝返りをうつたびにだんだんと浴衣がはだけていくんですよ。

(うわ・・・やべっ・・・見・・・見え・・・・しょ、昭和のお色気番組かよ!)

もうなんか胸元とか太股とか露になってきてて、気になって気になってチラチラ見てしまってたわけなんですよ。角度的に気付いてるのは僕しかいない。
もうトランプなんかそっちのけで、ババとか引きまくってたからな。

それでまあ、コーフンしすぎたのかしまったことに「あ、アブねぇ〜」と思わず『ルナ先生』のわたるばりに呟いてしまったのを女子に聞かれてしまい、その寝てる娘はササッと布団を掛けられてしまいました。

女子から向けられた冷たい視線を突き刺さるくらいに感じたとき確信した。


もう・・・・・終わったな・・・・・と。



そうしていると何やら隣の部屋で話し声が。どうやら先生が巡回に来ているらしい。
これは臨海学校や修学旅行ではお約束。切っても切れないハプニング。
だけど実際に遭遇してる者から言わせればお約束とか言ってられない危機的状況。
見つかったら正座くらいでは済まされない気がする。

「早く!隠れて!」

さあ、ここでマンガなら女子の布団に入り込むのがお約束ですよ。

先生「何時まで起きてるんだ、早く寝るんだぞ。」

女子「はーい。おやすみなさい。・・・・あっ」

先生「ん?どうした?」

女子「なんでもないです。(ちょっと・・・ダメ。変なトコさわらないで・・んっ)」

ってなことが理想なのですが現実は違う。
僕は隣の部屋に行ってた朋子ちゃんの布団を頭から被り、
他の男子は押入れに押し込められてた。

布団をわずかにめくって隙間から見てると、
押入れで変な体勢になりながら固まってる三人の姿が面白すぎる。
なんとか巡回の先生をやり過ごしたら、やはり隣の部屋で見つかった朋子ちゃんがこちらの部屋に戻ってきた。なんだか居場所が無くなってきたので、もう帰らなきゃなんないような雰囲気になってきた。

「じゃーねーおやすみー」

ピシャリと窓を閉めらてスゴスゴとはしごを降りる4人。冒険は終わった。




こうして男子の大部屋に戻ってきた時はほとんどの輩が寝静まってたんですけど、
どうやら中には勇者パーティーの凱旋をずっと待ってたヤツもいたようで、

「ヤッちゃった?もしかしてヤッちゃった?」

ヤッてねぇよ!

これでヤッてた勇者がいたらデスピサロだって指一本で倒すわ!!

「なんだ〜、あんまり遅いからヤッてたのかと思ったよ。」

こうして寝てる男どもを跨いで自分の布団に戻り、石鹸のいい香りやお色気シーンを思い出して悶々としながらも、人知れずそっと枕を濡らしていたのでした。






後編で全て終わらすつもりだったけど予想以上に長くなったので残りは次回。
「ドキドキ!伝説の臨海学校−そして伝説へ−」につづく。



〜そして伝説へ〜


とうとうこの臨海学校も3日目、最終日となった。

1日目


現実:実行するも未遂で撃沈(立花くんが)


夜のイベント


現実:ていうか肝試し自体が無い。


2日目


現実:やばすぎない(人生思い通りにはいかない)


そんなわけで最終日になって疲労もピークに達してるってのに、4kmの遠泳。
そもそも泳ぎは得意じゃないのに、一切の休みは許されない。殺せ、むしろ殺せ。

脱落して浜辺で倒れてるやつらも何人かいたが、なんとか泳ぎきる。
そんな戸塚スピリッツ全開のスパルタ臨海学校も終了。
あとは着替えて学校に帰るだけとなった。

「バスが待ってるから早く着替えて来い!遅れたら置いてくぞ!」

先生の怒号が響き渡るなか、疲れきった野郎どもはフラフラになりながら旅館に帰る。
この毎日のパターンだったんだけど、男子は女子に1時間遅れての終了。
男女の体力的な何か、部屋で着替える性的な意味でのナニかに配慮して、
こんな差別みたいなことが平然と行われていた。
股ズレでまともに歩けない僕らは、今日も珍妙な歩き方で大部屋に着替えに戻った。

「ふぅ〜 やっと終わった。これで帰れるよ。」

安心して気が緩んだのと同時にケツの穴まで緩んだのか、
男子の間で空前の大便ブームが到来。男子トイレが米騒動みたいな状態になってた。

「おい!早くしろよ!」

「マジ、マジ漏れる!」

「残りは学校でしろよ!」

なんか朝遅刻しそうな子供に言ってるお母さんみたいなやつもいるが、
うんこブースのドアの前には新装開店のような行列ができてた。

かくいう僕もアナルがエクスプロージョンしそうになって、モジモジしながら順番を待ってたんだけど、このままではいつになったらウンコできるのかわからない。それよりも先にミが出てしまう確率が高くなってきた。どうする?このままでは・・・・・・・


(・・・・・・上の階の女子トイレなら・・・・・・)
(・・・・・・今なら女子も居ないしできるかも・・・・・・)

1時間前に終わった女子はすでに着替えてバスに乗車済み、迷わず階段を駆け上がり女子トイレに飛び込んだ僕は、漏らす寸前のところで事なきをえた。

それでもう出るわ出るわ。
思わず自分を誇らしく思ってしまうくらい大量のウンコを放出した。
写真に撮っておきたくなるくらいの素晴らしい量。3日分を全て出してやった。

「さあ、早く流して行かないと先生に怒られるし、女子の嘲笑の的になってしまう。」

クイッ・・・・・

・・・・・・・

クイッ クイッ・・・・・

・・・・・・・


流れねぇーーーーーーーー!!!!


ヤバイ!ウンコが流れない!!何度レバーをひねっても全く無反応やんけ!

さっきまで写真に撮りたいなんて思っていたのに、いざとなると大量すぎて人様には見せられない。どんだけ溜め込んでんねん!オレ!恥ずかしいわ!


しばし考える。

ドアの前で待ってるやつもいない、誰も居なくなったのか辺りは静まりかえっている。
よし、これならいける!と意を決してブツそのままにしてトイレを飛び出る。
掃除のおばさんゴメン!文句は便器に言ってくれ!と心の中で叫びながら。



こうして出すもの出して駐車場まで駆け下りた僕。
息を切らした僕の眼前には、世にも恐ろしい光景が待っていた。




信じられねぇ・・・・・・




置いていきやがった・・・・・・



そこにあるはずのバスは忽然と姿を消し、ジャージ姿の少年が一人立ち尽くすだけ。



おいおい、そりゃたしかに「遅れたら置いてくぞ!」なんて言ってたけどさ、
だからって本当に置いていくわけないじゃんかよ。
こんなんマンガでもねぇよ!最後に予想外のToLOVEるきたよ!



「あらあら乗り遅れちゃったのね。駅まで送ってあげるから、電車で帰りなさい。」

旅館のおばちゃんにそう言われ、学校のジャージ姿のままで電車で学校に帰る。



こうして職員室でこってり絞られた僕は、翌日からこの高校で噂の英雄となる。
しかも旅館に忘れていったブリーフが親切にも学校に送り届けられてきて

「これは誰が忘れていったモノだ?」

と教壇で先生がブリーフを広げて掲られた。
こんなんされて名乗り出られるわけがないだろうが。

かくしてウンコしてて置いていかれた伝説は、
女風呂を覗こうとした立花くんたちを遥かに凌ぐ伝説となり、
彼は勇者ダイベーンの称号を与えられる。


そして彼が残していったブリーフはダイベーンのよろいとして
ウンコはダイベーンのしるしとして、後の世に伝えられたという。




んなわけない。



ブリーフを忘れたとかウンコ流さずに帰ったとか言えるわけが無い。

勇者ダイベーンの伝説は実際の半分。

後の後輩に残せる伝説のアイテムは、闇に葬り去るしかないのだった。









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